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獣化計画アナザー 蛇の章

2009年07月11日 18:55

一周年企画のリクエストで、
意外な健闘を見せたのが「ヘビ」でした。
結果は3位だったけど、
確かにちょっと描いてみたいような気はしてまして。
問題はどんなふうに変身させるかだったんですが、
ようやく自分なりに納得の行く流れが見えたので
チャレンジしてみました。

『獣化計画進行中』のアナザー展開なので、
ドーナツを食べる所までの展開は同じ。
それ以降も似てるけど、バージョン違いだから仕方ないのです。
べ、別に手抜きなんかじゃないんだからねっ!

   ×   ×   ×

そうして、ドーナツを一口、かじって。
普通に美味しくて、ふわりと香る不思議な匂いも、
なんだかちょうどいいアクセントに思えて。
そして、飲み込んだ次の瞬間にそれはやってきた。

寒気?
暑さ?
いや、その両方が同時に、胃袋から体中に広がっていく感覚。
全身の毛穴という毛穴が粟立ち、同時に妙な音が響きだす。

ぱきぱき。
ぱりぱり。
ごりごり。
みしみし。

それが自分の骨がきしんでいる音だと気付くまで
ずいぶん時間がかかったような気がする。
身体の内側で、
なにかとてつもなく良くないことが起こっている――!
背筋と首筋に突っ張るような感覚を覚えて、
それが痛みに変っていくのを認識した時、
あたしの恐怖はようやく”悲鳴”になった。

「――――ッ!!」

その悲鳴すら、あたしの想定した物とはどこか違っていて。
かすれて途切れがちな、自分の声とは思えない声だった。
ううん、「思えない」んじゃない。
これは――あたしの声じゃない。
人間の、声じゃない。

喉元に手をやった時、
頭の中で先ほどのドーナツの記憶が激しくまたたいた。
口に含んだ瞬間感じた、あの違和感。
あの、不思議な匂い。
あれが――あれがいけなかったんだ――!
反射的に口の中に手をつっこみ、吐き戻そうとする。
でも、指の動きがなんだか重苦しくて、
腕も妙に重くて思ったように動かない。
なんども繰り返しチャレンジして、
吐き気の破片もわきあがらず、焦りばかりが空しくつのっていく。

「カ――カ――カ――クカッ!」

どんなに必死になっても、
口から出るのは透明な唾液と乾いた妙な音ばかり。
どうしようどうしようどうしよう。
間に合わない間に合わない間に合わない。
あたしあたしあたし――変わっちゃう!
人間じゃ、なくなっちゃう!
お願い、吐かせて――吐かせてよう……

そして、あたしの祈りは届いた。
後になって分かった。
届いた先にいたのが神様じゃなくて、悪魔だったということを。

「げりゅ」

それは今まで聞いたこともない、奇妙な音だった。
視界が一瞬にして闇に包まれ、パニックに拍車がかかる。
だが次の瞬間、混乱の極地にいる私のもとを訪れたのは、
開放感だった。
今までの不愉快な感覚から一転、
身体のすべてが喜びに打ち震えるような多幸感。
そう、まるで生まれ変わったように。

――え?

生まれ、変わる?

自分の脳裏をよぎったその言葉の持つ意味が、
みるみる不穏な色を帯びていく。
なんだこれ。
なんだこれなんだこれなんだこれ――!?

「げりゅ」

再びあの音が聞こえた、と思った次の瞬間。
光を取り戻したあたしの視界に飛び込んできたもの。

それは、あたし自身だった。

肌の色は完全に生気を失って、
全身がくしゃくしゃになったあたし自身の身体。
完全に身体を支えることを放棄して、
くたりと床に投げ出されている両足。
乱れた衣服の下からのぞく、ねじれてしわのよった腹部の皮膚。
苦しそうに喉をかきむしっている両手。
そして、何よりひどいのは、元の面影を全く留めていない頭部だ。

むかし、誰かに聞いたことがあるような気がする。
銃弾が身体を貫通した場合、
その出口の破損が一番大きくなるのだという話を。
「出口」だから。
だから、頭部がもっとも損傷が激しいのだ。
あたしの口だった場所は、ありえないほど大きく開いていて。
今なお、「出口」として、その最後の勤めを粛々とこなしていた。

そこから先を見たくは無かったのに、
目が続きを追うことをやめてくれない。
「出口」から伸びている、おぞましい光沢をまとった細長い物体。
それは大きく弧を描いて――
あたしの、今のあたしの、身体へとつながっている。
手も、足も、髪の毛すらない、人とはかけはなれた生物。
初めて見たときから、
理屈を抜きにあたしが大っ嫌いだった、あの――

snake.jpg

ヘビ、ですか。
その模様はアミメニシキヘビ――アナコンダってやつですね?
まだちょっと人間の面影が残ってますけど、ふふふ、大丈夫。
今までのサンプルさんたちもそうでした。
あと2、3回も『脱皮』すれば、
どこに出しても恥ずかしくない、立派な蛇になれますからね」

女は嬉しそうにそう言って、デジカメのフラッシュを焚く。
涙がひとすじ、はらりとこぼれ落ちて――
「人として生きる」のが「人生」なら、
あたしのそれは、いま終わったんだな――そう、思った。

   ×   ×   ×

というわけで脱皮ネタでした。
少し前のホラー漫画なんかだと、
けっこう定番だったかもしれませんね。
楳図先生も何本か描いてらっしゃいますし、
犬木先生の絵で見た記憶もあるような。
自分で描いたのは初めてでしたが、なかなか楽しかったです。

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コメント

  1. 現在楽識 | URL | -

    Re: 獣化計画アナザー 蛇の章

    ほほう、脱皮で蛇ですかwこれはコレでいいですねぇw脱皮だと蟲系の選択肢もありますけど、ソレすると超級に大変なことになりますよねぇw

  2. greenback | URL | xB9R6Xc2

    Re: 獣化計画アナザー 蛇の章

    >楽識さん
    ありがとうございます。
    蟲は種類もたくさんあるし、繭とか蛹とかいろいろ妄想の素材が多くて素敵だと思います。

  3. K | URL | -

    Re: 獣化計画アナザー 蛇の章

    こんばんは、蛇編まで作ってくれるとは、蛇に一票入れた人にとっては嬉しい企画ですね。
    僕も爬虫類TFは好きなほうですので、嬉しく閲覧させてもらいました。ご馳走様です

  4. greenback | URL | xB9R6Xc2

    Re: 獣化計画アナザー 蛇の章

    >Kさん
    ありがとうございます。
    肝心のリクエスト頂いた人に喜んでもらえるかどうかがやっぱり肝心なので、コメント凄く嬉しいです。

  5. ゴゴT。 | URL | Xj9pzKFI

    Re: 獣化計画アナザー 蛇の章

    「吐き出す」というこの状況では自然な行為を
    違和感無くスムーズにTFに絡めた伏線にしてしまう手腕は流石だと思います。

    私なんぞは「ハロウィン?よし着ぐるみで豚だ!」
    「FF4DS版発売?よし豚だ!」「TS孕ませ?よし豚だ!」
    「アダルトグッズ?よし豚だ!」「ダイエット?よし豚だ!」
    「っていうかとにかくもう何でも豚だ!」
    みたいな力技で強引なこじつけばかりしてるので
    無理矢理な展開が多いこと多いことw

    ……ああ某所ではそんなダイエットものの感想ありがとうございました。
    書いた時間が時間なので描写が薄くなってしまった感もありますが。
    greenback様のような心身ともに翻弄される被害者の描写の
    濃厚さを勉強させていただきたいものですw

    絵も、脱皮というのは比較的一瞬で終わってしまう
    ある意味シークエンスとしては描きにくそうな変化ですが、
    抜け出た蛇の方に人間の面影が見事な割合で残されていて
    TF絵として成り立っていることに脱帽です。

  6. greenback | URL | xB9R6Xc2

    Re: 獣化計画アナザー 蛇の章

    >ゴゴT。さん
    あれで薄いとかどんだけwww

    とまれ感想ありがとうございます。
    吐き出す→脱皮、って流れは
    前回の文章を流用しようとしてたら自然とそうなりました。
    絵の方はちょっと塗り方を替えてみたら
    意外とヌルッとした感じが出て面白かったですね。

    1種にこだわりがある姿勢は潔いというか美しいと思います。
    私は雑食ちゃ雑食だけど、
    普通の感覚で見たら充分偏ってるわけですしw

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