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獣化計画アナザ― 悪夢の章 その4

2009年11月15日 10:11

なんだかぐだぐだ続いた連載も最終回。
今回は久々にイラスト付きになっております。
greenbackのお絵かき環境は復活したのか?
詳細は本文にてご確認ください。

前回までのあらすじ
・TFドーナツを食べて、恐竜にされちゃったゆうかちゃん。
・夢の中で、同じ道を辿ろうとしているもう一人の自分を発見。
・なんとか回避してほしくて、警告しまくってみたけど……

※参考リンク
・悪夢の章を初めから読む人はこちら
・ゆうかって誰?って人はこちら

   ×   ×   ×

まるで、ひどい夢を見ているようだった。
届いたと思ったのに。
通じたはずだったのに。
「彼女」は紙袋から悪魔のドーナツを取り出し、
不敵な笑みさえ浮かべておもむろにかぶりつく。
本当に、それは悪夢のような光景だった。

いや、まだだ。
まだ間に合う。
それを飲み込みさえしなければ。
今からでも、吐き出してしまえば。
ああ、ああ、お願いだから。
ダメだああああああぁああぁああああッ!

最後の絶叫は警笛としての役目すら果たすことなく、
「彼女」は美味しそうに呪われたドーナツを飲み下す。

あたしのやったことは、捧げた祈りは、全て無駄だったのだ
絶望の中で、自嘲気味に考える。
ああ、なんだっけ。
こういうの。
どれだけ言っても分からない、こういう奴のことを――

あ、思い出した。
その瞬間、あたしは全てを理解する。

何か途方もない、次元を超えた悪意のようなものが、
けたたましく嗤っているのが分かる。
悪夢を通じて別世界のあたしを見ることができたのも、
奇跡なんかじゃなくて。
あたしにこんなことを思いつかせるためだけの、
子供じみたいたずらだったんだ。

どんなにありがたい助言でも、金言でも……念仏でも。
言っても通じない愚鈍な耳を持つのは?
そう。

馬だ。

   ・   ・   ・

そうして、ドーナツを一口、かじって
――飲み込んだ次の瞬間にそれはやってきた。
胃袋から体中に広がっていく、熱くて禍々しいエネルギー。
全身の骨がそれに応えるようにきしみ、
悪夢の到来を高らかに歌い上げる。

今朝から感じていた既視感が、
みるみる現実に置き換わっていく。
これって……やっぱりドーナツのせいなの!?
あの、不思議な匂いを、
あたしはどこかで危険と知っていたはずなのに。
知らせてもらっていたはずなのに――!

反射的に口の中に手をつっこみ、吐き戻そうとして、
あたしはようやくその違和感に気付いた。

指先が、それも中指の先端だけが、焼け付くように熱い。
爪がやけに厚く、硬くなっているのが分かる。
それはまるで、何か汚らしい塊が張り付いているようにも見えた。
思わず、手首をぶるぶると振りまわす。
それで本当に「塊」を振りほどけるなんて思ってなかったけど、
心の底から突き上げる拒否反応で、そうせずにはいられなかった。

でも、頭のどこかで予想していた通り、
それはむしろ悪い結果しかもたらさない。
手首から先が、まるで遠心力に応えるようにして伸びていく。
あわてて動かすのをやめてもやっぱり変化は止まらずに、
中指はいっそう大きく発達して、他の指を飲み込んでしまった。
黒ずんだ爪はその先端で我が物顔の発達を遂げて、
ついに巨大な蹄にその姿を変える。

「あ……あ……」

靴がころんと脱げたのを感じて足元を見ると、
同様の変化は両足にも起こっていた。
小学校の修学旅行の時にやったろくろ細工みたいに
長く伸びていく足首が、ストライプのロングソックスを突き破る。
太ももに、腰回りに、ありえないくらいの筋肉が張り出していって、
スカートでカバーしきれなくなった巨大なお尻が顔を出す。

「ひっ」

嫌だ、と思った瞬間を待っていたかのように
尾てい骨がみしみしと蠢いて、
みるみる生えてくる豊かな体毛とともに見事な――
それはたしかに「見事な」としか表現しようのない尻尾を形作り、
スカートに代わってあたしのお尻を、
そして性器を不器用に覆い隠す。

「嫌……嫌ぁ……」

首が次第に長く伸びて、あたしの声がオクターブ低くなる。
舌がもつれて、発音すら上手くいかない。
頭の上にぴんと立った両耳が、
変化が最後の段階に入ったことを告げる。
顔が、あたしの顔が、ゆっくりと形を変えていく。
あたしがあたしである最後の記号が、握りつぶされていく。

umaby581 ※イラスト:581さん

逃げなきゃ、と思った。
刻々と迫ってくるバッドエンドから、ゲームオーバーから、
逃げなきゃ。

半ば予想していた通り、
2本の足で立ち上がることなんかできなくて、
両手を地面についてなんとか起き上がる。
何度か直立しようとして、それがどうにも無理なのを悟って、
たまらなく悲しくて、でも悲しいとか言ってる場合ですらなくて、
あたしは夢中で駆け出していた。
四本足で、蹄をアスファルトに響かせながら。

どこかに行くあてがあったわけじゃない。
でも、あたしの足は自然と渋谷駅へ向かっていた。
人が溢れてる歩道はとても通る気になれなくて、
道玄坂の車道を全力で駆け抜ける。
下り坂も手伝って、びっくりするくらいのスピードが出た。

ぱかッ、ぱかッ、ぱかッ―――

明らかに人間のそれとは違う足音を響かせて走る、
その一歩ごとに、身体がそれに馴染んでいくのが分かる。
急げば急ぐほど、骨が、筋肉が、
走るのにふさわしい肉体を作り上げていくのが分かる。

いつの間にか、あたしは一糸まとわぬ裸になっていた。
道行く人たちが足を止めて、あたしを指差しているのが分かる。
写メを撮ろうとしてる人もいた。
今さらのように恥ずかしさが襲ってきて、
あたしは足を止めそうになる。

その時、耳元で悪魔が囁いた。

「いやあ、びっくりした。
逃げられちゃうかと思いましたよ」

!?
それは幻聴でもテレパシーでも何でもなく、
文字通り、正真正銘あたしの耳元で囁かれた言葉だった。
そう、いつの間にかあたしは、
あいつを――TFドーナツの女を背中に乗せて走っていたのだ。
反射的に憎しみが噴き出してきて、振り落としてやろうとした。
踏み殺してやろうと思った。
でも。

「ふふ」

それを見越したように、
あいつはヒールの踵であたしの両わき腹を蹴る。
凄まじい勢いであたしの両手――
もはや「前脚」と呼んだ方がいいだろうか――が跳ね上がった。
痛みや恐怖ともまた違った何かが、
あたしの意思をやすやすとねじふせて
「前進セヨ」の指令を伝えてくる。

背中のあいつが、憎くてたまらないのに。
振り落としてやりたいのに。
どうしても身体が言うことを聞いてくれない。
前身の筋肉を使って風を切るスピードが、
次第に快感になってくる。
109の脇を駆け抜けてふと顔を上げれば、
渋谷駅は目前だった。
ハチ公前広場にたむろする人たちが見えてくる。
ああ、そろそろ待ち合わせの時間なのに。
ケンちゃんだって来てるのに――!

思わずスクランブル交差点を右に折れて
モヤイ像の方へ向かおうとしたあたしの髪を、
背中の女がぐんと引いた。

大きく方法転換を強いられて、
目に入ってきたのは交差点の真ん中に止まっている一台の車。
後続車のクラクションを悠然と無視して、荷台の後ろを大きく開き
そこに収まるべき「乗客」を待ち構えているその正体を、
あたしはもう知っている。

家畜輸送車。

人の乗る車ではない。
その暗闇こそが、この悪夢の終着点。
だから、絶対あたしは、あそこに入って行っちゃダメなんだ。
みんなのところに、モヤイ像に行かないと――!

「う゛ぃひひひぃいいいいいいぃィんッ!!」

あたしの絶叫はもはや、
どこをとっても人間の声じゃなくなっていて。
あいつはくすりと笑って、
優しく、強く、あたしのわき腹を蹴った。

あ。

ダメだ。
そっちはダメ。
お願いだから、この足を止めて。
誰でもいいの。
あたしを、この悪夢から―――

ばたん。

   ・   ・   ・

―――ただいま入ってきたニュースです。

本日12時30分ごろ、渋谷駅ハチ公口前のスクランブル交差点で、
道玄坂から駆け降りてきた馬が暴走するという一幕がありました。
馬にはスーツ姿の女性が乗っており、駅前で待ち受けていた
家畜輸送車に乗りこんで、青山方面へと走り去ったとのことです。
警視庁ではこれを悪質ないたずらと見て車の足取りを辿るとともに、
目撃者の聞き込みにあたっています。

では次のニュース―――

   ×   ×   ×

Pixiv581さんが描いてくれた馬化ゆうかちゃんを見て感動し、
浮かんだ妄想をさくっとSSにするはずが、
なんだかずいぶん手間取ってしまいました。

描いてくださっただけでなく、イラストへのリンク、
はては転載まで快諾してくださった581さんの懐の広さには
感服するばかりであります。
本当にありがとうございました。

ちなみに猫化ゆうかちゃんも描いてらっしゃいます。
エロくて可愛くてかわいそうでほんとに素晴らしいので、
未見の方はぜひ見に行ってみてください。


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(2007/02/02)
マリリン・モンロークラーク・ゲーブル

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コメント

  1. K | URL | -

    Re: 獣化計画アナザ― 悪夢の章 その4

    こんばんは、今回は馬変身でしたか。
    馬化したゆうかのお尻がとてもセクシーですね。
    次回もあるのかどうか分かりませんが楽しみにしてます

  2. greenback | URL | 1joVCph6

    Re: 獣化計画アナザ― 悪夢の章 その4

    >Kさん
    コメントありがとうございます。
    今回はこの尻にやられて書いたといっても過言ではありませんw
    次回は……どうなんだろうなあ。
    なんか思いついたらって感じでしょうか。

  3. ゴゴT。 | URL | Xj9pzKFI

    Re: 獣化計画アナザ― 悪夢の章 その4

    今回は何に変身するのか読めないなーと思っていたら、そういう伏線でしたか!
    仕掛け人さんのドSな発想に拍手を送りたいですw
    変化描写もそうですが、変化後、
    本能によってまさに文字通り「御されて」しまう様子がたまりません。
    581さんの絵の「むっちり美しい脚線美(w」と共に
    大いに萌えさせてもらいました。眼福眼福w

  4. greenback | URL | xB9R6Xc2

    Re: 獣化計画アナザ― 悪夢の章 その4

    >ゴゴT。さん
    まず最初に581さんの絵ありきで、なんとか馬TFに持っていけないかと模索した結果こうなりました。
    我ながらちょっとひねりすぎというか、考えすぎでしたねw
    バカバカしいネタなのに文章ばかりがごてごてしてて、ちょっといただけないかな。
    御されちゃうパートはわりかしノリで書けたので、そのへんを楽しんでいただけたのは何よりでした。
    いやしかしほんとに良い絵だなあ。

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