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『右耳憑依』 前篇

2009年11月22日 00:23

いつの間にやらずいぶん経っちゃいましたけど、
TS解体新書さんで9月~10月にかけて
300万ヒット記念企画「憑依モノ祭り」が開催されました。

様々な作家さんや絵師さんの作品が
連日にわたって投下されていく様子は
まさに「祭り」の名にふさわしい大イベント。
自らも作家として作品を投下しながら
あれだけの投稿作品をさばききったtoshi9さんの手腕には
改めて頭が下がります。

うちでもちまっと宣伝させていただいた通り、
greenbackも畑違いなのを知りながら変なSSで
厚かましくお邪魔してまいりました。

TS解体新書の「お祭りのページ」でも読めるんですけど、
こちらでも公開させて頂くことにいたします。
よかったら読んでやってください。

   ×   ×   ×

憑依って、知ってます?
そうそう、幽体離脱して誰かにのりうつるってやつです。
僕ね、できたんですよ、昔。
みんなはどうだか知らないけど、
僕の場合は右耳が出入り口でね。
自分の身体から出て行く時も、逆に誰かの身体に入り込む時も、
精神を集中させて、右耳からするするっと。
いやあ、実に楽しかったなあ。

migimimi.jpg

ああいや、今はダメなんですけどね。
そうなんですよ。
いつの間にかできなくなっちゃいまして。
憑依が、っていうかまずその前の
幽体離脱ができなくなっちゃった。
なんて言ったらいいのかな。
身体から抜け出そうとするんだけど、
いままで出口にしてた右耳の穴が狭くて、
通り抜けられないんですよ。

え?
霊体に狭いも広いもないだろうって?
確かにそうかもしれませんけど、
そんなふうに感じるんだから仕方ないじゃないですか。
もちろん、反対側の左耳もためしましたよ。
鼻やら口やら、他の穴もひと通りやってみたんだけど、
やっぱり無理でした。
自我の肥大化とかいうのと関係があるんですかね、
よく分かんないけど。

悲しかったなあ。
僕ってほら、こんなんだから。
昔から太ってたし、顔だってこんなだし……
いや、禿げてきたのはここ数年ですけど。
だから、憑依ってのは唯一の息抜きっていうか、
希望みたいなもんだったんです。
密かに想いを寄せてた先生に憑いてみたり、
近所の一人暮らしのお姉さんに憑いてみたり、
まあいろいろやりましたよ。
それが、できなくなっちゃった。
あんまり悲しくてちょっと自殺も考えましたけどね、
そんな勇気ありませんでしたし。

まあできないものは仕方ないと思い直して、
それからは地味に生きてきましたよ。
大学行って、国語の教職とって。
まあ時代もよかったんですかね、
なんとか私立の小さな高校にもぐりこむことができました。
そこからは長かったような、短かったような。
気付いたらもう勤続30年ですからね。

もちろん、女っけなんてカケラもありません。
見合いの話が持ち上がったことすらないし、
風俗なんてのも怖くて行けないし。
唯一の楽しみといえば昔の憑依体験を思い出して
オナニーすることくらいでした。
それもなんだか、歳を経るごとに
どんどん現実味がなくなってきましてね。
あれって夢だったのかなあなんて思ったりもしてましたよ。
ええ、つい先週までは。

あれは先週の木曜日、夜の10時くらいだったかな。
家で現代文の中間テストの採点をやってまして。
思ったより平均点が悪くなりそうで、
ちょっと難しくしすぎちゃったかなあなんて思ってました。
疲れてたんでしょうね、
いつの間にかウトウトしてたみたいなんですよ。
まさに、その時。

来ました。
ふわっと右耳から、何かが身体の中に入ってくる感覚。

息が止まりそうになって、
頭の中をぐるぐるかき回されるような違和感があって。
それが10秒? 1分ぐらい続いたかなあ。
ようやく動悸がおさまったと思ったら、
目が勝手に開いたんですね。
右手が動いて、握って、開いて。
「あ、あ」って声が出して。
顔がにやけていくのが分かりました。

いや、びっくりましたよ。
どう考えても、これ、憑依されてるでしょ。
懐かしいって言うのとも違うなあ。
なんというか、とにかくすごく変な感じでした。
他人の中に入ったことはあっても、
入られたことなんてなかったから。
当たり前ですよね。
憑依能力があっても、
普通こんなおじさんの身体に好きこのんで入ったりしませんよ。

僕の身体に入った誰かは、
しばらくにやにやした後で行動を開始しました。
机に積んである大量のテスト用紙を、
ぱらぱらめくり始めたんです。
明らかに、何かを探してるような感じなんですね。
やがてその手が止まったのは、
3組の河須あすかという生徒の答案を見つけたときでした。

生徒の名前覚えるのはそんなに得意なほうじゃないんですが、
彼女のことは覚えてました。
けっこう優等生で通ってたし、
何より顔がかわいかったんですよね。
クラス委員かなんかやってたんじゃないかな。

そんなことを考えているうちに、
僕の身体は未採点のその解答用紙を引っ張り出すと、
模範解答と照らし合わせ始めました。
見たところそんなにひどい点数じゃなかったんだけど、
いくつか間違いはありましたね。
そしたら、おもむろに消しゴムを取り出しまして。
その間違った解答を消してしまったんですよ。
で、あらためて模範解答にそって正解を書き込んでいくわけです。
あきらかに自分の字体ではないその筆跡を見て、
僕は確信しました。
いま、僕の身体に憑依している霊体が、
河須あすか本人だってことを。

なるほどなあと思いましたね。
憑依能力にこんな活用法もあるのかと。
僕なんて、エッチなことにしか使ってなかったもんで、
ちょっと感心してしまいました。

ただ、どうやら彼女、
僕の意識が覚醒してることには気付いてないらしくて。
そりゃそうですよね、
憑依してテストの答案を書き直すなんてインチキ、
ばれないようにやらなきゃ意味がない。
でも、たしかに僕は事態をはっきり認識してましたし、
さらにはその気になれば
身体の自由も取り戻せそうな気がしました。
まあ、「気がした」だけなんですけどね、
憑依した経験のある人間の勘みたいなもので。
なんとなく僕の身体を支配している意思の力が、
甘いといいますか。
ええ、むこうが油断してるっていうのも大きいと思うんですけど。
こうなると、なんだか面白くなってきちゃってね。
コントロールを取り戻せるかどうかの確認もかねて、
思い切って声を出してみたんです。

「やあ」って。

おかしかったなあ。
凍りつくっていうのはああいうことを言うんですかね。
「えっ?」とか言っちゃって、
ものすごい動揺してるのが分かるんですよ。
心臓なんてもうバクバクいってて。
完全に不意をつかれて、どうしていいか分からなくなってるの。
調子に乗って、たたみかけてみましたよ。

「こんばんは、河須さん」って。

背中にぶわっと冷や汗が浮かぶのがわかりました。
彼女にしてみれば今さらごまかすこともできないし、
言い逃れもできないわけです。
思いっきり現行犯ですからね。
こういうのもカンニングっていうのかな?
とにかく、優等生にあるまじき不正ですよ。
でもね。
考えてみれば彼女が何かやった証拠はないわけです。
今ここを切り抜けて自分の身体にもどってしまえば、
僕が何を言ったって誰も信じません。
しばらくして、彼女もそれに気付いたんでしょうね。
僕の身体のコントロールを解いて、
幽体離脱しようとしたのが分かりました。

だからね、とっさに逃げ道をふさいでみたんです。
右耳に、こうやって小指をつっこんで。
こんな物理的な手段で、
ほんとにうまくいくとは思わなかったんですけどね。
でも、自分も右耳の穴が狭くて通れなくなったわけですから、
ふさがってたら出られないんじゃないかっていう、
ちょっとした思い付き。
これが意外とうまくいきまして。
彼女の精神が出口を見失って、
僕の中で悲鳴をあげているのが分かりました。
これは楽しかったですね。
子供のころセミをつかまえて、
虫カゴに入れた時みたいな達成感。
今だったら「ゲットだぜ」とか言うのかな?

それでまあ、カゴの中のセミが鳴くのと同じように、
僕の頭の中の彼女もすごい勢いでわめくわけですよ。
そもそも先生の教え方が悪いとか、
これは誘拐だから自分を帰さないと懲戒免職に追い込むとか、
しまいにはデブだの不細工だの変態だの、ひどいもんです。
もちろんそんなことで傷ついたりしませんけどね。
なにやったって証拠が無いのはこっちも一緒なんだから。
ちょっといたずらするくらい、別にかまわないじゃないですか。

それでまた考えたわけです。
身体のコントロールは今、完全に僕が握ってる。
でも、さっきまでの感じだと五感は共有してるっぽい。
少なくとも見るもの、触れるものの感覚はつながってるわけです。

思わず、笑みがこぼれちゃいました。
正直、ここから先は、
まあ変態と言われても反論できないかもしれません。
でも、思いついちゃったから仕方ない。
まずズボンをね、おもむろに脱ぎまして。
右手は耳の穴をふさいでなきゃいけないから、
左手だけでベルトはずしたりするのはちょっと大変でしたけど、
まあ何とか頑張りました。
すると、脛毛がびっしり生えた
ぶよぶよの太ももがあらわになりますな。
頭の中で彼女がまた悲鳴をあげました。
そりゃまあ、そんなもの見たくはないですよね。
でも、やめません。
次はパンツを……愛用の白いブリーフを、
わざとゆっくり、ゆっくり脱いでいきます。
当然、中身がぼろんと出てきますよね。
自慢じゃないけど、ちょっと大きいサイズだと思うんですよ。
それをまじまじと見ながら、
股間からぶらさがる重みを実感したんでしょうね。
彼女の悲鳴が1オクターブ高くなりました。

何考えてんのよ、女の子に何見せてんの、それでも教師?
この変態! 変態! 変態!

なんかもう裏声みたいになってるんだけど、
これが面白くてしょうがない。
そうこうしてるうちに、だんだん変な気持ちになってきてね。
その、股間がむくむくっと……
ええ、元気になっちゃったんですね。
これはちょっと予想外でした。
でも、こうなったら仕方ないじゃないですか。
行くところまで、行くしかない。

   ×   ×   ×

というわけで後篇に続きます。

どうでもいいと思うんですけど、元ネタはこちら↓
自分が家から出られないからって
迷い込んできた人を監禁しちゃうなんて、
まったくもって怖いお話ですな。
結局出てこなかったけど、男の名前は「岩屋」先生でした。

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コメント

  1. 現在樂識 | URL | -

    Re: 『右耳憑依』 前篇

    憑依物は、変化がない分精神的な苦痛を全力で駆け抜けるので、面白いといえばおもしろいんでしょうけど、やっぱ変身系のほうが個人的に燃えますねw

    憑依対象に長時間憑依していると、魂やら精神の型に異常が生じて、ソレが肉体にフェードバックされてしまうとかそう言う設定を思いついてしまいますよ。

    スタイルソコソコ、顔もソコソコの子がいいパーツをもった子に憑依し、部分的に精神を残すことで相手の胸なら胸を自分のものにして、相手はその副作用で胸が無くなるとか悪くなる。

    そう言うのがぽんぽんと沸いてきますね。

    無論、カオスシナリオ化するのならこの能力設定でもっとぶち壊しますけどw

  2. greenback | URL | xB9R6Xc2

    Re: 『右耳憑依』 前篇

    >現在樂式さん
    自分の嗜好とは微妙に外れた素材をなんとか美味しくいただく工夫って大事ですよね。
    世界が広がるというか。
    加害者が一瞬で被害者に転落する装置として、憑依って意外と便利かもしれませんね。
    入れ替わりに近い部分もあるんですけど、使い方次第かなと。

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