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『アダジミガ』 前編

2008年06月02日 00:18

昔描いた絵がありまして、そこそこ気に入ってたわけです。
怪物化した女の子の絵。

ただ、客観的に見るとそれ一枚じゃ何が何だか分からない。
さすがにこれだけじゃブログにのせらんない。

じゃあ、というわけでBeforeを描いてみました。
それでも、やっぱりどんな状況なんだか分かんない。

じゃあ補足っぽくSSつけてみようか。
……なんてことやってたら、意外と長くなってしまって。

そんなわけで前編、というわけです。
   ×   ×   ×

緑背南小学校。
5年前に廃校になったまま、
取り壊す費用もなく放置されているその校舎は、
順調に廃墟化が進行していた。
壁は蔦に覆われ、雨どいには野鳥が巣をかけ、
グラウンドには雑草が生い茂る。
そして、内部。
たくさんの落書きが施され、
タバコの火によるボヤの跡が生々しい。
そう、お約束といえばお約束だが、
そこは地元のろくでもない若者たちにとって、
格好の溜まり場になっていたのだ。
今日もまた、とある教室から男女の笑い声が聞こえてくる。

「いや、こないだ変な雑貨屋見つけてさ。
入ったら変なじじいがいるんだよ。
うわ超きめえとか思って」
「思って?」
「思って、買ってきたのがこれだ」
「ひゃははは、買ってきてんじゃねえかよ」
「や、なんか超安いの。マジ笑うくらい」

発泡酒の缶を手に軽口をたたきあっているのは、
”ケンジ”と”ユウゴ”。
いずれも、見るからに悪そうな輩ではない。
どちらかといえば好青年といえなくもない、
整った顔立ちの2人組である。

「はいワンピース、はいネックレス、そしてはいブーツ。
ミカ、これお前にやるから」
「えー嘘、きゃはは超いらないし」

声をかけられたのは、髪を茶色に染めた小柄な女だった。
名前はミカ。
ケンジやユウゴと同じく、この学校の卒業生である。

「うわ、なんだよそのもれなく悪趣味なコーディネート」
「だから、その店で買ったの。
そのワンピースのタグ見てみ」
「タグ?」

ワンピースの襟からぶら下がるタグには、
奇妙なイラストが描かれていた。
丸々とした胴体に、どこか蜘蛛を思わせる細長い手足。
緑色の肌に長い耳。
なんとも君の悪い怪物の絵である。
その脇に、小さな字で書かれた文章が添えられていた。

「なんだこれ? 英語……でもねえな」
「ええと、何ていってたかな。まあどっかの文字だよ。
じじいが言うには、なんか、このワンピースとこのネックレス、
そしてこのブーツ、3点を一緒に身に付けちゃいけない、
というようなことが書いてあるらしい」
「それでわざわざその3点を買ってきたってか。
うわあなんて悪趣味な」
「ていうか頼まれても普通やんないけどね、
そんな変なコーディネート。きゃははは」
「そう、頼まれてもやんない。
でも、やっちゃいけないって言われると……」
「やってみたくなる、ってか」
「な!」

そう言って、ケンジが取り出したのはビデオカメラだった。
ユウゴとミカが同時に噴き出す。

「うっわ、ほんとバカだね」
「動画サイトに流してみたりしようかと思ってさ。
『禁断のコーディネートを彼女に着せてみた』とか言って」
「それ面白いか?」
「どうだろ、面白かったら流す」
「ちょっとちょっと、あたし聞いてないんだけどー」
「大丈夫だって、顔は写さないようにするから」
「マジでー? きゃはは超最悪なんだけどー」

一応、抗議はしながらもすでに衣装を手に持っているミカ。
やる気まんまんなのは誰の目にも明らかだった。

『更衣室』は、割れていない鏡のある3Fの女子トイレで
代用することにした。
酒の勢いも手伝ってやたら上機嫌なミカは、
げらげら笑いながらスタンバイに入る。
「うわ、変な生地」「なんかぴったり」などと1人で盛り上がる
彼女に、ケンジが声をかけた。

「ミカ、もういいかー?」
「いいよー、きゃはははは」
「それじゃあいくぞ! せーの、ちゃらららららーん♪」

ケンジがBGM代わりに口ずさむ
『オリーブの首飾り』に合わせて、ミカが登場する。
モデル……のつもりなのだろう。
妙に気取った歩き方であらわれて、くるりと回転したりもする。
真っ赤で時代遅れなデザインのブーツや
大ぶりすぎるネックレスともかく、
緑色の不思議なワンピースはそれなりに似合ってすらいた。
すなわち。

「うーん……正直、つまらんな」
「はは、こりゃ流せないわ。投稿する価値ない。失敗だ失敗」
「分かりきってたことだろうがよ」
「まあな」
「あーバカバカしい。のっかったあたしがバカみたいじゃない」
「悪い悪い、もういいからさ」
「ったく……」

白けかけた空気を吹き飛ばすように、酒をあおってみせるユウゴ。
ケンジもそれにならう。
ミカが苦笑しながら胸元のペンダントを外そうとした時、
“それ”ははじまった。

「ちょっ、え、何これ?」

ペンダントが怪しく輝きだす。
ちか。ちかちか。ちか。
ランダムな点滅を繰り返すその赤い宝石は、
さながら何かの信号を送っているようだった。

「ちょっと、嘘、これ取れないよ!?」
「ぎゃははは、何言ってんだよ?」
「無理にもりあげなくていいから」
「いや、冗談抜きで、これ……え?
あれ?
ワンピースが……」

ぐちゅ、と妙に液体じみた音が聞こえたような気がした。
ワンピースが「溶けた」という表現が一番近いのだろうか、
ぶよぶよとしたスライム状に姿を変え、
ミカの身体にへばりついている。
それはまるで意志を持っているかのようにざわざわ蠢き……
少しずつ、少しずつ、その面積を広げていった。

「ひっ、や、やだ、気持ち悪い!
ねえこれ取って! 取って! ケンジ! ユウゴ!」

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   ×   ×   ×

というわけで、続きます。

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コメント

  1. くま | URL | UhxSVgto

    Re: 『アダジミガ』 前編

    赤いブーツがとても萌えますね。
    今後の展開が楽しみです。

  2. greenback | URL | xB9R6Xc2

    Re: 『アダジミガ』 前編

    >くまさん
    コメントありがとうございます☆
    ブーツに萌えていただけるとは予想外でしたw
    短い話なので次回で終わりですが、
    また読んでいただければ幸いです。
    (ちょっと手直し中につき、もう少しお待ち下さい)

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