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『涙目王女』 その3

2008年10月17日 00:17

はじめから読むひとは→1話へ

   ×   ×   ×

笑顔。
ここだけの話、姫はこの笑顔に大きな自信を持っていました。
大輪の花が開く時のような、
それだけで周囲をぱあっと輝かせてしまうその微笑みは、
この国の誰もを魅了してやみません。
もちろんそれを鼻にかけるような姫ではないのですが、
そこは女の子。
毎晩こっそりと鏡に向かっては、
一番すてきな笑顔の研究にはげんでいました。

「ほう……」

世界をまたにかける牛車商人・フリーダの目にもやはり
間近で見る姫の笑顔は魅力的に映ったようです。
思わず感嘆のため息が漏れました。

「……あ、いやこれは失礼を。
ああそうだ、姫の笑顔を見ていたら、
お勧めしたい品があったのを思い出しました」
「あら、何かしら?」
「ええっと、どこに入れたかな……ああ、あったあった」

ごそごそと牛車の中をかきまわしてフリーダが取り出したのは、
きらきら光る緑色の石に彩られた、小さなイヤリングでした。

「あら素敵ね。でも……」

とても可愛らしく、素敵なデザインではあるのですが、
馬車に積まれた見たこともない異国の品々にくらべると、
それはいささか平凡というか、見劣りしてしまいます。

「でも……」

でも、何というべきなのでしょうか。
名も知らぬその小さな緑色の宝石の輝きが、
しだいに姫の心をとらえはじめました。
とくん、とくんと、少しずつ胸の鼓動が大きく聞こえてくるような、
そんな不思議な魅力が、
その石からは発せられているような気がしたのです。

「お試しになりますか?」

フリーダがにっこり笑って、イヤリングを手渡してくれます。

「!」

なにげなく受け取ったその時、
その緑の石が姫の手に触れた瞬間、
ひどく熱いような、冷たいような“何か”が身体をはしりました。
足元から背筋を通って、
「それ」は姫の両耳めがけて駆けていきます。

ハヤク。
ハヤク。
ハヤクハヤクハヤク。
ツケテ!
ネエ、ツケテ!!

かすかに震える手で、
姫はイヤリングをひとつずつ耳に運びました。
精緻な細工が施された金具もはじめて見るものでしたが、
その装着法はいたってシンプル。
ほとんど吸い付けられるようにして、
姫のかわいらしい耳におさまっていきます。

ぱちん。

   ×   ×   ×

4話へ

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コメント

  1. 現在楽識 | URL | OOy8wYYM

    Re: 『涙目王女』 その3

    ふふふふさあ、どうなる!!!

    イアリングの効果はどうなる!!!

    次で、きっと何かが起きると見ていいんですよね?

  2. greenback | URL | QG36hgG.

    Re: 『涙目王女』 その3

    >現在楽識さん
    起きるといえば起きますが、本番はまだ先です。
    なんか、すみませんw

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