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『涙目王女』 その5

2008年10月21日 00:44

今北さん用あらすじ

・おひめさまがいました
・ヒマでした
・変な商人からイヤリングをもらいましたヽ(*´∀`)ノ キャッホーイ!!

はじめから読むひとは→1話へ

   ×   ×   ×

その日、午後の勉強の予定をキャンセルして
姫は街に出かけました。
フランクなお国柄を誇るシュレアルの国では、
王家が市井の人々と触れ合うことにも重きを置く風潮があり、
それでなくても姫に甘い国王の許しなどは出てしまいます。

「おお……姫君」
「リヴェラ姫君だ!」
「またいっそうお美しくなられて」
「姫のまわりだけ春が来たようじゃ」
「きゃあ、こっち見て笑ってくれたわ」
「俺なんか握手しちゃったもんね」

行く先々で姫は大人気。
いつになく上機嫌な姫は、
日が暮れるまで街の活気を味わったのでした。

「あら、あれは何?」

街のはずれにある、大きなレンガ造りの建物に気づいた姫が、
護衛のパブロに声をかけます。

ここで少しだけ、この若い兵士についてお話しておきましょう。
実年齢以上に幼く見える顔立ちと、
容姿に見合ったシャイな性格がかわいいと
ことに女性の人気を誇るこの兵士は、若干19歳。
城下では、密かに彼のファンクラブが作られているという
噂もあります。
もちろん、リヴェラ姫もひとりの女の子。
恋愛対象でこそないものの、彼をことのほかお気に入りで、
こうした「お出かけ」の際には、
彼をつれて歩くことがしばしばでした。
一部の兵士たちの間では「軟弱者」とか「姫様のお人形」などと
やっかみ半分の陰口をたたかれたこともありました。
しかし、この春行われた剣術大会で、パブロの成績は準優勝。
決勝戦での戦いぶりも、
伝説の勇者を相手に一歩も引かない見事なものでした。
勇者じきじきに「この国一番の使い手」という
言葉をもらった彼は近々、
史上最年少の近衛兵隊長に就任するとの噂も
ささやかれていました。

「あれは……姫の行かれるようなところではございません」
「あら、どうして?」
「それは……」
「あのねー! あすこはねー!
まものがいーっぱいいるんだよー!」

言葉をにごしたパブロにかわって声をあげたのは
小さな町人の男の子でした。

「こら! 姫様になんて口をきくんだい」

母親が、げんこつで子どもの頭をぽかりと叩きます。

「ほんとに、失礼しました」
「いいのよ、それよりどういうことかしら。
魔物が街の中にいるっていうの?」
「それは……あの……」
「?」

言いにくそうにしている母親の目線をたどると、
パブロが童顔にせいいっぱいの「威厳」を浮かべて、
人差し指を口にあてています。
その真面目ぶった様子と幼いジェスチャーがおかしくて、
姫は思わず吹き出してしまいました。

「じゃあいいわ。あなたが教えて」
「しかし…」
「これは命令よ」

困った顔をして、若い衛兵は溜息をつきました。

「ジオティ様には、言わないで下さいよ」
「分かってるわよ」
「あれは…闘技場です」
「闘技場?」
「魔物どうしを戦わせて、何が勝つのかを予想するんです」
「予想して、どうするの?」
「当てた者には、そのぶん配当が入る…一種の賭博ですね」
「ああ、なるほどね」
「姫」
「面白そうじゃない」
「姫」
「行きたい」
「ダメです」
「行こうよ」
「ダメです」
「なんで?」
「姫が行くようなところじゃないからです!」
「やだやだやだ! 行きたーい!!」

その夜。

「むー……」

姫は小さな頬を、めいっぱい膨らませていました。
結局、闘技場に入ることは許されず、
なかば強引にお城に連れ戻されたうえ、
授業を急遽キャンセルしてしまったため
ジオティにみっちり叱られてしまったのです。
ようやくお小言から開放されて部屋に戻ってきた姫は、
お気に入りのお香を焚きながら、眠りにつく支度をしていました。
髪の毛をほどき、装身具をはずして…

「……あれ?」

イヤリングをはずした自分の顔を見て、
姫は軽い違和感を覚えました。
私、こんな顔してたっけ?
もちろん、鏡の中に写っているのは
十分すぎるほどに美しい少女の顔です。
壁にかかっている去年の肖像画と比べても、
何が違う、ということはないのですが…

「うーん、気のせいかな」

いつもより少しだけ念入りなケアをして、姫は眠りにつきました。

   ×   ×   ×

6話へ

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コメント

  1. 現在楽識 | URL | OOy8wYYM

    Re: 『涙目王女』 その5

    ……何がちがうんですかね~~~w
    さあ、さぁ、気になってきます、続きがw
    お姫様が涙目になるまでのカウントダウン、処刑台へのカイダンを上り始めましたね、

    その違和感、どのような形になっていくのか、楽しみにしてますw

  2. greenback | URL | xB9R6Xc2

    Re: 『涙目王女』 その5

    >現在楽識さん
    毎度コメントいただいて恐縮です。
    一番違うのは、「長さ」でしょうか。
    ……なんかミもフタもないですけどw
    文字数も、話中でのスパンも、いつもよりかなり多めになっております。
    本番まで、いましばらくお待ちください。

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