FC2ブログ

スポンサーサイト

--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『涙目王女』 その9

2008年11月06日 23:15

こんにちは。
最近、pixivにちょっとだけ絵をUPしたりしているgreenbackです。
今のところ全部ここの過去絵なんだけど、
企画とか楽しそうだなあ。
混ぜてもらいたいなあ。

気をとりなおして今北さん用あらすじ。
・不思議なイヤリングを外すとブサイクになっちゃうお姫様。
・なんでだ?→回想突入
・もしかして、美しさを浪費するアイテム……なのか?

はじめから読むひとは→1話へ

   ×   ×   ×

その夜、パブロは城内の警備にあたっていました。
隊長だからといって、こうした雑務をおろそかにしないこと。
それは、昇進の話がささやかれはじめた時から、
彼が心に決めていたことでした。

決められたルートを順に回り、
異常が無いことを確認して部屋に戻る。
いたってシンプルな作業ではありますが、
これらの積み重ねがお城の平和を守ることにつながる……
それが彼の信念でした。

真夜中を過ぎ、お城の大半が眠りに付いたころでしょうか。

「きゃぁああああああぁああああああああ!!」

2度目の巡回を終えようかとしていたパブロの耳に、
恐怖に満ちた女性の絶叫が飛び込んできました。

「この声は……!」

そう、まぎれもないリヴェラ姫の悲鳴です。
その足で、まっすぐ姫の部屋に向かいますが、
姫の部屋はお城の奥の奥。
いささか時間がかかってしまいました。

「ちいっ!」

ようやく部屋にかけつけ、中に向かって声をかけます。

「姫、ご無事ですか?」
「ぱ、パブロ?」

中から返事がありました。

「ご無事ですか?」
「あ、ああ大丈夫……ちょっと待ってね」

がちゃりと、部屋の扉があきました。
いつも通りの、美しい姫の姿。
耳元には、お気に入りのイヤリングが光っています。

「ごめんね、びっくりさせて……
ちょっと、怖い夢を見たものだから」

姫の額には、確かにびっしりと汗が浮かんでいます。

「夢……でございますか」
「そう、夢……ただの、夢よ」

そう言いながら、
姫の目の端にはかすかに涙まで浮かんでいました。

「ご無事で何よりでした」

そう言って自分の業務に戻っていくパブロの背中を見ながら
姫はつぶやいていました。

「無事じゃ……ないわよ……」

姫が、部屋に鍵をつけてもらうよう国王に願い出たのは、
その翌朝のことです。


その日から、姫は毎日少しずつ悪化していく自分の姿を、
毎晩のように見続けることになりました。
そして朝になるとイヤリングをして、
輝くような「いつもの姫」に戻り、
周囲の憧れのなかに戻っていくのです。
もはや、姫の「仮定」は完全に裏付けられました。
このイヤリングをしているかぎり、姫は……ほんとうの姫の姿は、
底なしに損なわれていくのです。

でも、どうすればいいというのでしょう。
今さらイヤリングの秘密を打ち明けて、「あの姿」で人前に立つ?

……馬鹿な。

お城のみんなの、国民たちの嘲笑と憐憫が目に浮かぶようです。
きっとレオナルド王子だって、
あんな姿の姫を愛してはくれないでしょう。
それなら。
姫にできることは、せめて自分の部屋にいる時だけでも
なるべくイヤリングを外し、少しでも美しさを
「引き出され」ないようにすることくらいでした。

「う…ううっ、ううう…」

最高級の化粧水をぽってりした頬にすりこみながら、
姫は嗚咽をこらえることができません。
どうして?
どうしてこんなことになっちゃったんだろう……
思考のループは果てしなく、
姫が泣きつかれて眠ってしまうまで続きました。


一方で、そんな姫の胸中とは関係なく、
レオナルド王子との縁談はつつがなく進んでいました。

あのウサギ狩りの日から3回目のデートで、
王子は正式に姫との結婚を申し出ました。

姫はもちろん、王様やお后様まで大喜びです。
もちろん、かなわぬ恋と知りながら
心の底で姫に想いをよせていた男達は
しずかに枕をぬらしたといいますが
(そしてそれはかなりの数であったでしょうが)それはそれ。
2人の婚約の報せは国中をかけめぐり、
城下町は早くも祝賀ムードにつつまれました。

   ×   ×   ×

はい、回想終わりです。
もうちょっとサクサク進めて行きたい。

→10話へ

ホテル・銀行が嫌がる話―元・警備員が明かす ちょっと聞けないおもしろ勤番日記 (マイ・ブック)ホテル・銀行が嫌がる話―元・警備員が明かす ちょっと聞けないおもしろ勤番日記 (マイ・ブック)
(1992/12)
夢野 遥

商品詳細を見る

コメント

  1. 現在楽識 | URL | -

    Re: 『涙目王女 その9』

    ……あんまりこういうことを言いたくないですけど、
    俺よりあなたのほうが容赦ないのではw

    毎晩毎晩自分の顔を見るたびに落ち込むお姫様、
    幸せなミライと自分を包み込む深い闇、

    さあ、結婚式というゴール?が見えてきたw

    ……せめて、お姫様ができるだけ長く幸せな夢を見れますようにと、

    そして、最後のメインイベントがおとづれることを切なく祈ってますw

  2. 親月兎 | URL | gXQyZnIY

    Re: 『涙目王女 その9』

    はじめて投稿します。
    肥満化サイトの絵を見て好きになって、いつもへんなかがみを楽しみに見てます。
    涙目王女はどういう展開になるか楽しみにしてます。

  3. greenback | URL | xB9R6Xc2

    Re: 『涙目王女 その9』

    >現在楽識さん
    お褒め?にあずかり、光栄ですw
    いつもより長い時間軸の話をやってみたくて
    『涙目王女』を書いてるんですが、
    これはこれでえげつないものですねw

    >親月兎さん
    はじめまして。
    コメントありがとうございます。
    ご期待にそえるかどうか分かりませんが、
    ごゆるりとお付き合い願えれば幸いです。

コメントの投稿

(コメント編集・削除に必要)
(管理者にだけ表示を許可する)

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://greenback.blog116.fc2.com/tb.php/68-226f046e
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。