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『涙目王女』 その10

2008年11月09日 02:08

今北さん用あらすじ
・「美しさを引き出して浪費する」イヤリングをつけちゃった姫
・これ以上はやばいけど、今さらやめられないよう(´・ω;`)
・とか思ってるうちに王子との縁談が急展開!

初めから読むひとは→1話へ

   ×   ×   ×

どんな国にだって、
他国から見ればナンセンスな習慣のひとつやふたつあるもの。
この国もまた、例外ではありませんでした。
ここシュレアルの王家に伝わっていたのは、
“結婚”に関するちょっと変わった風習でした。

曰く――
新しい人間をお城に迎えるにあたって、
その者を1ヶ月前から城の一室に住まわせ、
この国の習俗や歴史について学ばせること。
その間、婚約者はその部屋で、生活をともにすること。
ただし(もちろん)その間の肉体的交渉は一切許されない。

……若い2人にはずいぶん過酷な話のようですが、
歴史ある掟には逆らえません。
念のために、2人が寝泊りする部屋には
「お守番」という呼び名の、いわば見張り役が
片時もはなれずついていることになっていました。

この習慣をあらかじめ知っていた姫にとって、
これは大問題でした。
すなわち、1ヶ月にわたってひとりの時間が作れないということ。
王子が寝ている間すら、
姫はずっと監視下に置かれることになってしまいます。
その間、イヤリングをつけ続ける……?
顔を洗う時も、寝る時も?
いくらなんでも、怪しまれはしないでしょうか。
それ以前に、そんなにつけていたらまた……

「どうしよう……」

考えに考え抜いた姫の脳裏に浮かんだ、たったひとつの希望。
それは、フリーダでした。

このイヤリングを姫に与えたフリーダなら、
あるいはこの事態を打開する方法を知っているかもしれない。
確証はもてませんでしたが、藁にもすがりたい姫は
人を使って牛車商人の動向を調べさせました。
それによれば、
フリーダがシュレアルの国を出て行ったのは
もうずいぶん前のこと。
この間お城を訪れてから1週間もたたぬうちだったようなのです。
その後の足取りは、定かではありません。

「かまいません。
世界のどこかにいる彼女を、もう一度ここに連れてきて」

家来達は、姫がなぜそんなに必死になるのかは分かりません。
しかし、美しいリヴェラ姫の懇願は、彼らの忠誠心に火をつけました。
かくて全世界に、女牛車商人の似顔絵が出回ることになったのです。

シュレアルから遠く離れた、とある砂漠の村。
こんなへんぴな所にまで、
フリーダ捜索の立て札は立てられていました。
もっとも、いくら全世界を旅する牛車商人といえども
足を踏み入れたことのない……
というより、そんな価値もない、辺境の土地です。
しかし、そんな村のはずれにひっそりと立てられた
「WANTED!」の看板の前で、足を止めたものがいました。
時刻はちょうど昼下がり。
この地方の人は、酷暑をしのぐために昼寝をしている時間です。

「待ってましたよ、お姫さま」

そうつぶやいて分厚いフードを脱いだその人影、その笑顔は、
まぎれもなくそこに描かれているフリーダその人でした。


「手紙?」

一切の目撃証言が得られず、やきもきしていた姫のもとに
朗報が飛びこんできた時には、
王子の入城まであと3日を切っていました。
フリーダから姫にあてて、手紙が届いたというのです。

「はやく、はやく見せて!」

ひったくるようにしてジオティから手紙を受け取った姫は、
いそいそと自室に駆けこみ、念のためしっかりと鍵をかけました。
震える手で封を切り、
不思議な香の焚きこめられたその紙切れを、
むさぼるように読んでいきます。

「拝啓
リヴェラ姫様にはますますご健勝のことと
お慶び申し上げます。
風の便りでは、かねてよりご懇意のレオナルド王子と
婚約なさったとのことで、卑しい旅の身の上ながら
お祝いの言葉を綴らせていただくことをお許しください。

さて、今回無礼を承知で
このような拙い文章をしたためておりますのは、
姫が私を探しておられる、
という噂を耳にしたからに他なりません。
本当ならばどのような用であってもこれ以上の喜びはなく、
何をさしおいても馳せ参じたいところではあるのですが、
いかんせんはるかに遠い旅の空。
車を引く牛たちにいくら鞭をふるったところで、
少なくともひと月ばかりかかってしまうに違いありません。

無い知恵を絞って考えましたところ、
姫のご用件というのが、
例のイヤリングにあるのではないかと思い至った次第です。

正直に申しまして、あの宝石の『使い方』、
その全てを私は説明してはおりませんでした。
お許しください。
この世のものとは思われぬ姫の美貌を目にしては、
よもや姫が『それ』を必要となされることはなかろうと
勝手に思い込んでいたのでございます。

そう、おそらく姫はもうご存知かと思われますが、
あのイヤリングの唯一の欠点は、それを外した時にあります。
それを補うために備わった、
美しさを『引き出す』以外のもうひとつの機能……
それは、美しさを『貸し与える』というもの。
これにより、12時間のあいだ、
イヤリングをつけていなくてもその魔力は姫の身に留まり、
一層魅力あふれる姿をお楽しみいただけることと思います。

方法は簡単です。
はずしたイヤリングを手に握って『貸し与えよ』と願うだけ。
時間もほとんどかかりませんでしょう。
ご活用いただければ幸いです。

陽光あふれるピィヴ港の安宿にて
あなたの忠実なるいちファン フリーダより       敬具」

   ×   ×   ×

11話へ

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コメント

  1. 現在楽識 | URL | -

    Re: 『涙目王女』 その10

    ……わぉ、絶望へのカウントダウン、さらに加速してきましたね、
    与えるではなく貸すのですかw

  2. greenback | URL | xB9R6Xc2

    Re: 『涙目王女』 その10

    >現在楽識さん
    そうなんです。貸すんです。
    ……なんだか分かりやす過ぎてすみませんw

    >11/11 12:14 拍手コメントの方
    ありがとうございます。
    姫のてんぱり具合を味わいながら読んでいただけたら幸いです。

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