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『涙目王女』 その11

2008年11月14日 00:48

2ch異形化スレのくさったしたい変身ストーリー、
作者さんは存じませんがたいへん美味しくいただきました。
ウチのDQネタがいけるクチの方はぜひどうぞ。

さて、そんなシャープなSSとはほど遠いウチの連載
今回もだらりとまいります。

今北さん用あらすじ
・魔法のイヤリングをはずすとブサイクになっちゃうお姫様。
・王子様との結婚が決まって、つけっぱなしにはできないし……
・商人からの手紙で、ナイスな裏技情報をゲット!.。゚+.(・∀・)゚+.゚

初めから読む人は→1話へ

   ×   ×   ×

「これは……」

そう、それは今の姫にとって何よりも重要な情報でした。
いろいろと引っかかることはありましたし、
根本的な部分では何も解決はしていないのですが、
これでひとまず、このピンチを切り抜けることができます。

その夜。
姫はいつものように部屋に施錠し、鏡に向かっていました。
慣れた手つきで、イヤリングを外します。
ぞくぞくと悪寒が走り、身体が変形をはじめます。
このころになると、
姫の姿は「なんとなく」の範疇をはるかに超えた、
ほとんど別人といっていいレベルの
変身を遂げるようになっていました。
より厚ぼったく脂肪が層をなし、
ほお骨やあごの形も大きく変わります。
全身の毛が濃くなり、
それらはどんなクリームを使っても除去できません。
最近では意識して鏡を見ないようにしているものの、
顔のつくりも大きく変化していく様子が、
時おり痛みをともなう疼きによって、
姫自身にはっきり伝わってきます。

「ふうっ……」

変身を終え、大きく溜息をつきます。
……どうあっても、こんな姿を人に見せるわけにはいきません。
考えるまでも無いことです。
意を決して姫は鏡に向かい、
緑色の宝石を両手に握り締めました。
鏡の中の、涙目の……
あまり美しいとはいえない少女に向かって
にっこりと微笑みかけ、しずかに目を閉じます。
……貸し与えよ。
強く強く、そう念じました。
手の中の宝石が、どくん、と脈打ったように感じました。

『カシテ、ヤロウカ?』

頭の中に、声が響きます。

『キレイニナリタイノダロウ?』
『え、ええ! なりたい、きれいに……きれいになりたいわ!』

姫は夢中で答えていました。

『イイダロウ』

閉じた瞼の裏に、緑色の光が瞬いたような気がした直後、
姫の全身を、鈍い衝撃が襲いました。

「!」

思わず目を開けた彼女の、その目の前には……
そう。
鏡に映った美しい自分の姿がありました。


数日後。
レオナルド王子はつつがなく入城の日を迎えました。
結婚式の予行演習のような盛大な宴が催され、
その日からリヴェラ姫の、本当に忙しい日々がはじまったのです。
慣れない共同生活に加え、
来たるべき結婚式の準備にも手は抜けません。
そして何より、半日ごとの「あの儀式」。
こっそりとイヤリングを両手に持ち、『貸し与えよ』と念じる……
たかがこれだけのことなのですが、
あやしまれないように、
なおかつ定期的に行うのはなかなか骨が折れます。
とはいえ、これを怠ってタイムオーバーになってしまったら……
考えるだけで恐ろしいことです。
その強迫観念は、姫をこれ以上ないほどマメにしました。
皮肉なことに、そんな彼女の姿は
王子にも周囲にも好ましく映りました。

「あの姫が、自分で起きるようになられるなんて……」

ある日「お守り番」をつとめたジオティなど、
目にうっすら涙を浮かべて喜んだものです。
そのようにして、ひと月はまたたくまに過ぎていきました。

青々と晴れ渡った空に、ぽん、ぽんと白く花火が打ちあがります。
この日のために町のいたるところに放された小鳥たちが
美しい声で歌っています。
いつも活気に溢れているシュレアルの城下町に、
たくさんの出店やそこを訪れる観光客が加わり、
いつもの数倍の賑やかさを見せています。
そう、今日は結婚式。
いまや世界的に名高いシュレアルの宝石・リヴェラ王女と
隣国のレオナルド王子が晴れて夫婦となられる、
それはそれはおめでたい日なのです。

そんな中。

「はいよ、失礼、すいませんね、どうもどうも」

人で溢れかえる中央通りを、
上手にすりぬけていく大きな影がありました。
一見、馬車…のようですが、
それを引いているのは黒く大きな角を生やした牛。
そう、牛車です。

「ちょっとごめんなさいね、はいどうも、通らせてもらいますよー」

よく通る、ちょっとハスキーな声。
日に焼けたオリエンタルな顔だち。
そう。
あのフリーダが、シュレアルにふたたびやって来たのです。

   ×   ×   ×

→12話へ

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コメント

  1. 現在楽識 | URL | -

    Re: 『涙目王女』 その11

    諸悪の根源がやってきたw
    さぁさぁ、どうなるの? 
    どうなるのだろう……涙目になるのはいつだろう……

    泣け、わめけwそして絶望してちょうだいなw
    その悲鳴が、涙が、最高の酒の肴ですからw

    個人的なことですが、自分もブログはじめてみました。
    と、言ってもまだ何も無いところなのですが、
    何か形がととのいしだい、リンクのほうをお願いしたいと思います。

  2. greenback | URL | xB9R6Xc2

    Re: 『涙目王女』 その11

    >現在楽識さん
    ……どうなるんでしょうw
    ブログ、足跡からこっそり伺わせていただきました。
    リンクは大歓迎ですので、
    そちらのタイミングが良い時を仰ってくださいね。

    >拍手コメント下さった方
    ありがとうございます。
    そろそろ描きたいなあとは思っていたので、
    思い切って上げてみましたが、
    ご期待に添えたかどうか……

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