FC2ブログ

スポンサーサイト

--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『涙目王女』 その14

2008年11月27日 08:44

描きたいものとか書きたいものが多すぎて、
ちょっと目が回りそうです。
へんなかがみをはじめて最初の年末……
年賀状的なものは描けるんだろうか。

今北さん用あらすじ。
・魔法のイヤリングが無いとブサイクになっちゃうお姫様。
・元凶の魔女があらわれて、姫の姿に変身!
・本物はどっち?

はじめから読む人は→1話へ

×   ×   ×

ほどなく、謁見の間に一同が会しました。
この非常事態に、城中の者たちが固唾を呑んで見守っています。
その中心に、
どこからどう見てもそっくりな2人の姫が立っていました。
ただひとつ違うのは、その表情。
ひとりはどこか自信に満ち、
その口元にはかすかに笑みさえ浮かべています。
もうひとりは落ち着きなく視線をさまよわせ、
時おりハンカチで額をおさえています。
どちらかといえば、「あやしい」のは後者でした。
そして皮肉なことに、その「あやしい」姫こそが
本物の姫だったのです。
彼女の額に、背筋に、じっとりと浮かんでくる冷や汗。
それは、偽者の真意を悟ったが故のものでした。
場所を謁見の間にうつし、城中から人々が集まってくる中で
偽者は、彼女に向かって
あのアルカイックな笑顔で小さくささやいたのです。

「姫……大丈夫ですか、お時間の方は」

――時間?
その言葉の意味を考えているうちに、
息せき切ってレオナルド王子が入ってきました。
沈痛な表情と、ふたりの姫へのとまどいを色濃く浮べた
その顔をながめているうちに、突然、姫の中で
さっきの「時間」の意味がはっきりした形をとりました。

窓から、王子の美しい顔にさしこむ太陽の光。 
その、角度。
……いま、何時だっけ?
最後に、「借りる儀式」をしたのは?
はっきりしたリミットは分かりませんが、
ここでこうしている限り「儀式」を行うことはできません。
いつも懐にしのばせていたあのイヤリングですが、
今はウェディングドレスに身を包んだときに
部屋の鏡台の中にしまったままになっています。
……なんとか、しなければ。

しかし、どうすればいいのでしょう。
姫は「本当のことを話す」機会を、完全に逸してしまいました。
いまここで、全ての事情を話したところで、
それを信じてもらえる保障などどこにもないのです。
それどころか、彼女の今の姿が
魔力によるものだということが分かってしまえば
「偽者」の烙印を押されてしまいかねません。
かといって、今あやしげな行動をとるのも……
思考がどうどう巡りをして、前に進みません。

……な、なんでこんな目にあわなきゃいけないの?
なぜ『本物』の私が、こんなに焦らなきゃいけないの?
悔しい。
だまされた。
はめられた。
ああ、違う、今はこんなこと考えてる場合じゃないのに……
今は、あのイヤリングをどうやって取りに行くか……

「え?」

姫の視界の隅に、見慣れた輝きがうつりました。
なんとも言えず忌まわしい、
しかし今や何より大切な……あの、イヤリング。
それをいま……どうして偽者が手にしているのでしょう?

驚愕で目を大きく見開いてイヤリングを見つめる姫に気づいて、
同じ姿のフリーダがにっこりと笑いました。
誰にも聞こえない声で、彼女に囁きかけます。

――お探し物はコレですか?
ふふ、大したものですね。
これだけ『借り』を作っているなんて、
正直、私の予想以上でしたよ。
魔力を持たないあなたには分からないかもしれませんが、
見せてさしあげたいですねえ、
このイヤリングに蓄積されたエネルギー。
……ああ、そうか。
もう、見せてさしあげられるんだ。

「……!?」

「皆さま、このような晴れの日に、
思わぬ手間と時間をとらせて申し訳ありません。
ご覧の通りのアクシデントに見舞われてしまい……
皆様の目をもって、
どちらが本物か判断いただきたく、集まっていただきました」

偽者が自信たっぷりに話し始めたのを見て、姫は慌てました。
このままでは、
完全に向こうにイニシアチブを握られてしまいます。
何か……なにか言わないと……

「わ……私が本物なのよ!
“アクシデントに見舞われた“のは私のほう!
ねえ、信じて!
何でも聞いてくれていいわ。
王子のキスのやりかたとか……」

ざわ、と小さく声があがります。

「私の姿ではしたないことを言うな、この偽者めッ!」

当の偽者自身から放たれる、強い非難の声。
これは確かに逆効果でした。
何人かの人々は……そして王子までが、
不愉快そうに眉をひそめています。

「に……偽者はあんたでしょう?」
「これ以上の茶番はけっこう。
見た目だけで分かっていただこうなどと、私が浅はかでした。
これより、皆様にははっきりとした証拠をお見せします」


   ×   ×   ×

15話へ

どっちの料理ショー特選素材取り寄せカタログ〈vol.1〉どっちの料理ショー特選素材取り寄せカタログ〈vol.1〉
(2004/12)
不明

商品詳細を見る

コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    http://greenback.blog116.fc2.com/tb.php/74-9980f04c
    この記事へのトラックバック
    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。