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『涙目王女』 その15

2008年12月01日 08:45

なんとなんとturn whiteのyayameさんが、
ウチのフリーダさんを描いてくださいました!
オリジナルより素敵なイキオイの作品なので、
見に行くといいと思うのです。
※yayameさんちのお絵描きBBSでチェックできます。

ではでは、本編の方も。

今北さん用あらすじ
・結婚式の当日、姫の前に突如現れた魔法使い。
・自分の正体とか目的とか全部ぶっちゃけて、姫の姿に変身!
・しかも、美しさを保つ魔法のイヤリングまでそいつの手に!

最初から読む人は→1話へ

   ×   ×   ×

一歩前に歩み出て、偽者は手に持っていたイヤリングを掲げました。
「ご存知の方もいらっしゃるでしょう。
私がここのところ、ことのほか愛用していたイヤリングです。
さる牛車商人から譲り受けたものですが、
これには魔除けの力があるのだそうです。
とりわけ、その石の中には邪なるものが何かに化けている時、
その者の本当の姿を白日の下にさらす力が込められていると、
その牛車商人は言っていました。
……ふふ、なんだか出来すぎですね。
彼女は、この日が来ることを予想していたんでしょうか」

この上ない皮肉をこめながら、
ちらりと本物のリヴェラ姫を振り返ります。
偽者が何をしようとしているのか分からず、
姫はただ立ち尽くすことしかできませんでした。

「……気に入っていたのですが、仕方ありません。パブロ!」
「はっ」

パブロに向かって、偽者はイヤリングを投げました。

「それを、砕いてちょうだい」

思わず受け取ったイヤリングを手に、
パブロは呆然としています。

「……え? 砕く、と申しますと」
「そこに込められた力を、解放するの。
あなたの槍で、その石を砕いてちょうだい」

そのイヤリングを破損されると、
姫としては大いに困ったことになります。
なんと言っても、これ以上“美しさを借りる”ことが
できなくなってしまうのですから。
しかし……姫の直感が知らせてきたのは何か別のこと。
……何か、それどころじゃなく、
とてつもなく恐ろしいことが起ころうとしている。
姫は痛いほどそれを感じていました。
駄目。
絶対駄目。
そんなこと、させちゃいけない!

「や、やめて! お願い、それは駄目! 
ダメなの! ねえパブロ、お願いだから!」
「何が、ダメなのですか? ……姫」
「そ、それは……」

答えることなど、できるはずもありません。
事情を説明できるのならとっくにしていますし、
何より、何が「ダメ」なのか、
姫自身にもよく分かっていないのです。
そう、全てはフリーダの演出通り。
この状況は誰がどう見ても、偽者が正体を暴かれないように、
見苦しく抵抗しているようにしか見えませんでした。
固い決意を顔に浮かべて、パブロが槍を宝石につきたてます。

「やめてッ!」

――パキン。

それは、とても澄んだ音をたてました。
砕けた石のかけらはキラキラと宙に舞い……そして
そこから、うっすらと薄緑色の煙のようなものが立ち上ります。
煙はしだいにひとつにまとまり、
ぼんやりとした人間のような……
あるいは得体の知れない化け物のような、
異様なシルエットを形作っていきます。
あんな小さな宝石から出てきたのが信じられないほど巨大な
“そいつ”は、目のない顔で姫の方を眺め……
そして、音のしない声で――たしかに、笑いました。

「ひっ!?」

一歩、一歩と“そいつ”が、姫に近づいてきます。
その巨大な両手を姫に向かって差し出したときですら、
姫はもちろん、その場にいた誰もが凍りついたように
動くことができませんでした。
――ただひとり、姫の隣で
アルカイックな笑顔を浮かべている偽者の姫……
フリーダを除いては。
偽者の口元が、ゆっくりと動きます。

「……ゴリヨウ アリガトウゴザイマシタ」

化け物の両手が、す、と煙に戻ります。
いえ、煙なら、上に昇るはず。
しかし、これはちょっと違っていました。
はじめはゆっくりと、
次第に勢いを増しながら、姫に向かって……
姫の……かつてイヤリングが光っていた、
その両耳に、吸い込まれていったのです。
両手から、太く大きな両腕、肩……次々にその巨体が、
姫に向かって放たれていきます。

「いやッ! 
なに? なに? 
何これぇえええ!?」

轟々と音を立てんばかりの勢いで
吸い込まれていく“そいつ”。
姫が半狂乱になって振り払っても、
ふわふわと手ごたえのない煙にはのれんに腕押し。
一瞬、散らばるだけで、
ふたたび容赦なく姫の耳へと流れていきます。

――あ。
ああ。
――溢れる。

   ×   ×   ×

16話へ

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コメント

  1. | URL | -

    Re: 『涙目王女』 その15

    いよいよ大詰めのようですね
    一ヶ月も美しさを借り続けた姫がどこまで醜い姿になってるのかも気になりますが
    醜くなった後の姫がfrdさんにどんな目に遭わせられてしまうのかも非常に楽しみです

  2. greenback | URL | xB9R6Xc2

    Re: 『涙目王女』 その15

    >12月04日 02:11 コメントの方
    あ、鋭いw
    そっちもご期待に沿えるように頑張ります。

    >12/04 10:15 拍手コメントの方
    引き続き、容赦なくまいりますw

  3. yayame | URL | XTr70q5E

    Re: 『涙目王女』 その15

    こんばんわ。リンクありがとうございます!
    容赦ないフリーダさんにほだされて、
    ついつい描いてしまいました。
    次はもう少し描き込みして、お送りできるようにがんばります。

    SSいよいよ終盤ですね。
    サディスティック全開なフリーダさんで、押し切って欲しいです。
    がんばれー

  4. greenback | URL | xB9R6Xc2

    Re: 『涙目王女』 その15

    >yayameさん
    レス遅くなって申し訳ありません。
    すげえ嬉しかったです。
    「次」が……あるのですか……
    ほんとにありがたいことです。
    いつまででもお待ちしてますw

    こちらはこちらで、
    ご期待に沿えるよう頑張らないといけませんね。

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