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『涙目王女』 その21

2009年01月07日 01:00

新年一発目の涙目王女です。
この長い長い豚姫様のお話も佳境。
そろそろ本番になってまいります。

今北さん用あらすじ
・結婚式の日に豚の化け物にされちゃった姫。
・牢屋で泣いてたら、魔女がやってきて、残飯を食わされちゃいました。
・一応しゃべれるようになったけど……次は何すんの?

はじめから読んでみる人は→1話へ

   ×   ×   ×

シュレアルのお城を、月の光が静かに照らし出しています。
ホウ、ホウと遠くで梟が鳴いています。
時刻は、そろそろ夜半をまわろうかというところ。
ほとんどの人間は寝静まって、
お城の中は静寂に支配されています。
あの、昼間のお祭り騒ぎが嘘のよう。

今日という記念すべき婚礼の日、
このお城は幸せな笑顔で満ちていました。
誰もがふたりの新しい門出を祝福し、
この国の輝かしい未来を確信して歌い、踊り、
酒を酌み交わしていました。
その中にあって、なお誰よりも幸せを感じていた人物――
それは言うまでもなく、レオナルド王子でしょう。
ずっと想いを寄せていた姫と、ついに結ばれる日が来たのです。
その喜びは並々ならぬものがありました。

大きな大きなベッドに枕をならべ、
高鳴る胸の鼓動をしずめるので精一杯。
もう、邪魔な“お守り番”もいません。
隣には、大好きなリヴェラ姫が横になっています。
目を閉じてはいるものの、本当に眠りについていないことは
その息づかいから明らか。
王子を、待っているのです。
月光に照らし出された、その美しい顔。
ごくり、と唾を飲み込みます。
思えば、ここにいたる日々は平坦なものではありませんでした。
その美貌と明るい性格ゆえに、誰からも好かれてきた姫。
それはすなわち、
レオナルドのライバルの多さをも物語っていました。
シュレアルの建国記念日に挨拶に訪れた日、
可憐なドレスに身を包んであらわれた
彼女を見てひと目で恋に落ちたその時から、
王子の戦いははじまっていました。
親しく言葉を交わすようになってからも、婚約を交わした後ですら、
心の休まるヒマはありません。
とくにこの数ヶ月、
姫がみるみる美しさを増していくのをうっとりと眺めながらも、
他の男たちから注がれる憧れの眼差しと、
時おり曇りを見せる姫の表情に
やきもきしっぱなし。
愚かしいことだとは分かっていました。
姫が、自分を裏切ることなどないと、分かっていたはずでした。
分かっていてなお、苦しい。
それでもやっぱり、切ない。
王子にとってはじめての恋は、甘く熱く、
彼の胸と――下半身を焦がし続けてきました。
ほとんどプライベートなどない王族としての生活の中で、
ほんの一瞬、ほんのわずかな時間を見つけては、
隠れるように姫の顔を思い浮かべて手淫にふけった日々。
結婚式へのカウントダウンがはじまってからの1ヶ月間は、
シュレアルの理不尽な掟によって
そのスキすら与えられることはありませんでした。
それも、今日までのこと。
結婚式の夜に、ふたりがどうか、
最高の愛情を確かめ合えるように。
願わくば、その幸せの結晶が姫の胎内に宿るように。
本来のその掟の目的どおり、
あらゆる意味で、王子は臨界点をむかえつつあったのです。

いつの間にかずいぶんと荒くなっていた呼吸を、
なんとか整えます。
準備、完了。
意を決して体勢を変え、王子を待つ姫を抱き寄せます。
固くこわばった身体をリラックスさせてあげようと、
まずはその可憐な顔に、
ゆっくりと口付けしようとして――気づきました。
姫が、細かく身体をふるわせていたことに。

「……リヴェラ?」
「くは、くははははっ、あーっはっはっは!!」

心配そうに声をかけたレオナルドに、
姫は――大爆笑で応えました。

「あ、あははっ!
ご、ごめんなさい……も、もうガマンできません、あはははっ!
ですよね、新婚初夜ですものね、
やることといったらコレしかないですよね。
や、いいんです、当然のことですもの、きゃはははっ」
「……?」

いぶかしげに眉をひそめるレオナルド。
当然でしょう。
言っていることはもちろん、口調や表情までが、
彼のよく知るリヴェラのそれとは全く違っているのです。
目の前で起こっている姫の異変と、
式の間に感じ続けていた些細な
違和感――それは自分や姫の緊張から
くるものだと思っていたのですが――が、
少しずつ結びついていきます。

まさか。

「あはっ、ココはしっかり大きくなってますね……
ふふ、可愛い。
でも残念ながら、コレで貫くべき人は、私じゃないんですよ」

まさか、そんな。
レオナルドの思考がぐるぐると回り、混乱の中で
ようやく朝の「2人のリヴェラ姫」騒動に
たどり着くかどうかという、まさにその時でした。
彼の花嫁がはじかれたように立ち上がり、
奇妙な印をその両手で描いたのは。

――ぽん。

間の抜けた音を立てて、寝室の一角に、
ピンク色の煙が立ち昇りました。

「さあお待ちかね、楽しい初夜のはじまりです!」

煙がゆっくり晴れていきます。
そこにいたモノ。
それは――なかば王子が予想していた通り――あの、
豚の化け物でした。

   ×   ×   ×

22話

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コメント

  1. 現在楽識 | URL | -

    Re: 『涙目王女』 その21

    さぁさぁ真実の愛はそこにあるのかぁぁ?

    あれだ、きっと王子様も仲良く豚にwというか、もう国中豚でいいじゃんw

    とまあ暴走気味なのはおいておいて、
    基本的に贈り物にしたものはブログには乗せない方向性なので、大丈夫です。

  2. ゴゴT。 | URL | Xj9pzKFI

    Re: 『涙目王女』 その21

    姫様視点だと完璧超人っぽかった王子もやっぱり人の子というか、それなりの欲求はあったようで……w

    事の真相を知りつつある王子ですが、どういう展開になりますかねー。
    まあこの段階まで来てしまっては、もはや王子がどの選択肢選んでも
    ほぼバッドエンド確定の詰み状態ですけど!w
    ただフリーダ様の愛の形によっては少しはハッピー?

    TF好き視点で見ればどう転んでもハッピーエンドっぽいですがw

  3. greenback | URL | xB9R6Xc2

    Re: 『涙目王女』 その21

    レス遅れまくりでほんとすみません。

    >現在楽識さん
    あんちゃんw
    頂いたものについては了解しました。
    ただ、公開はけっこう後になるかもしれません。
    涙目王女がひと段落してからになるかと。
    そして絵が……ドレスが……描けない……orz

    >ゴゴT。さん
    完璧超人というか、ほとんど人格がありませんでしたからねw
    私も書きながら
    「あ、こいつこんなこと思ってたんだw」って感じで。
    ご指摘の通り、詰んでます。
    まあへんなかがみに載ってる時点で決まってるんですよねw

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