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『涙目王女』 その22

2009年01月11日 18:56

先日、yayameさんちのお絵描きチャットにお邪魔してきました。
1時間ばかり見学……のつもりが、
気付けばマー●ャさんを3人ばかりも描く強行軍。
描けば描くほど荒れていく自分の絵を尻目に、
涙目でおいとましたgreenbackでした。

※もちろん時間に余裕があればゆったり過ごせたはずですし、
 老化や肥満化がお好きな方にはとても楽しい場所なので
 興味がある方は次の機会にでもぜひどうぞ。
 おしゃべりだけの参加もアリっぽいですよ!

さて、涙目といえばこの人。

今北さん用あらすじ
・結婚式の日に、豚の怪物に変身させられちゃったお姫様。
・魔女にだまされてたことを、ようやく理解してきた王子様。
・元に戻れるかどうかをかけて2人が挑む、魔女の「ゲーム」とは?

はじめからよむひとは→こちらから。

   ×   ×   ×

魔力による突然の転送。
一瞬のうちに地下牢から寝室に移動したことを理解するより早く、
豚の――リヴェラ姫の目にまず映ったのは、
最愛の王子の姿でした。
今や隠すものを一切身に付けていない、化け物の身体。
今なお口から漂う残飯の臭い。
近衛兵に捕まったときにもぎ取られた王冠に代わって、
滑稽なリボンが結われている頭……
すべてが耐え難い屈辱。
例えようもない羞恥に苛まれながらも、
彼女は必死でフリーダの提示した『ゲーム』を反芻していました。
それは、この上なくシンプルなルール。
――朝が来るまでに、レオナルドと……

「お待たせしちゃってすいませんでしたね、リヴェラ姫」
「リ……なんだって!?」
「あ、レオナルドさまもご理解いただけました?
今朝の――いえ、今日という日の壮大な喜劇の真相を。
あなたの花嫁がどちらなのかを。
あはっ、きゃははははっ!」

ネグリジェを着た魔女が、
姫を装うことを完全に放棄して邪悪な笑い声を響かせます。
レオナルドはゆっくりと踵を返し、姫のもとに歩み寄りました。
オークは怯えたような目で王子を見つめながらも、
分厚い舌で必死に言葉を紡ぎます。

「れっ、んれっ、ォなルドおっ、わ、わだブひぃ、ワタしぃ……」
「まさか、お前が……い、いや、君が……リヴェラ、なのか?」
「んブゥ! うんっ! うんっ!!」

文字通りの猪首をせいいっぱい動かして、
何度も、何度も頷きます。

――分かってくれた。

これだけのことで、姫の目から、涙がほとばしりました。
ああ、レオナルド、レオナルド、レオナルド!
今日一日、
完全に絶望の底に突き落とされていた彼女にとって――
永遠に誰からも魔物としてしか扱われず、
いずれ嘲笑の中で処刑されていくであろう未来しか
描けなかった彼女にとって、
いま王子から“リヴェラ姫”として認められていることそのものが
ほとんど奇跡だったのです。

「そんな、まさか……一体どうして」
「あっ、あっ、あいツ、ま、魔女、イヤリンブゥ、うう、ウブゥッ!
で、でも、今は、んブッ、そ、そ、それよりもゴぉおっ!!」
「そうですよレオナルドさま。
どうして姫がそんな目にあってるのか?
知りたいのはよぉく分かりますが、
ちょっと長いお話になっちゃいます。
詳しいことは、呪いを解いてからでもよろしいんじゃありません?
一応、タイムリミットもあることですし」
「タイム――リミット?」
「ええ、このゲームのタイムリミットは朝まで。
王子のキスで美しい姫にかけられた呪いがとける――
これもなかなか感動的ですけど、
あいにく私にはちょっと薄口すぎるんですよね……だから」

ふ、とフリーダの目が針のように細くなりました。
それはそれは愉快そうに、口元が緩みます。

「だから、交わること。
朝の日の光が部屋に差し込むその前に、
あなたがたが契りを結べたなら、
姫を元の姿に戻してさしあげましょう。
ふふ、そんなに情熱的な目で睨みつけないでくださいな。
私は魔女。
悪魔の名において約束は守りますよ、ねえリヴェラ姫さま。
ねえ、簡単でしょう?
ずっと夢見てきた、愛するふたりの初夜を予定通りに
まっとうするだけのことなんですから」

楽しくてたまらない、といった表情をうかべ、
甘い口調で語り続けるフリーダ。
しだいに理解が追いついてきたレオナルドが、
たまりかねて叫びます。

「貴様ッ!
姫をこのような目にあわせて結婚式を汚しただけでは飽き足らず、
その上なお、神聖なる営みまでも愚弄するかっ!?」
「あはっ、私はかまわないんですよ、
レオナルドさまがこの貴重な時間を、
そうやって怒鳴り散らすことに浪費なさっても。
でも、はたして花嫁はどう思ってらっしゃるかしら?」
「なんだとっ?」

ハッとした様子で、王子が姫に向き直ります。

「……ふゴッ!」
思わず鳴ってしまった巨大な鼻を、意味もなく押さえている姫。
その、目。
赤く泣きはらしたようなその小さな両目からは、
今日一日の間涙を流し続けた彼女の絶望が
容易に推定できました。

「おのれ魔女め、よくも……」
「あら?
まだ私と遊んでくださるんですか?」

たっぷり含みをもたせたフリーダの笑み。
さすがにレオナルドも、これ以上魔女の言葉に踊らされて
時間を浪費することの愚かしさに気づきはじめました。

「リヴェラ、すまない。
今朝のこと、今日のこと、
君が苦しんでいることに気づかずにいた僕の愚かしさは、
どれだけ謝っても償えないだろう。
だから、これから一生、僕は君の奴隷だ。
ともかく、今はあの魔女の言うゲームとやらに乗るしか
……ないんだね?」

もちろん、フリーダの真意など、姫にもとうてい分かりかねます。
しかし、他に選択肢がないのもまた事実。
間の抜けた鼻息をもらしながら、ゆっくりと頷きました。

「……んぶゥ」

   ×   ×   ×

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コメント

  1. 現在楽識 | URL | -

    Re: 『涙目王女』 その22

    昨夜は強行軍をかましてしまって申し訳ありませんでした。


    そう簡単にのろいが解ければ苦労しないはず……ですよねぇ?

    ただやればいいだけで終るはずがないと深深な状態ですw

    ゆっくり待ってますので、こちらを気にしないでくださいw

    テラカオスやってる分、とんでもないのはよくわかってますので、

  2. ゴゴT。 | URL | Xj9pzKFI

    Re: 『涙目王女』 その22

    前回の記事で「そろそろ本番になってまいります」という一文を見て、
    これ以上の本番があるのかと驚かされましたが
    なるほど、素敵な凄絶な展開になってきましたね。

    裏も、裏の裏もありそうなフリーダの言葉ですが、どんな結末を迎えるのか……
    わくわくして色々と予想してみたくもありますが、外れると恥ずかしいし、ぐっと我慢。
    ……ここで意表をついて、人間に戻って大団円、となったりすると
    普通なら「イイハナシダナー」で終わるはずなのに、このジャンルだと座布団が飛んでくるんでしょうねw

    もし私が王子様だったら、やりたいのは山々ですが戻られるとつまらないので、朝まで待ってから悠々と(ry

  3. greenback | URL | xB9R6Xc2

    Re: 『涙目王女』 その22

    >現在楽識さん
    ご期待に添えたらいいんですけど、どうでしょうw
    挿絵の方は、お言葉に甘えて、
    ゆっくり描かせていただこうと思います。
    あいかわらず、普通のかわいい女の子を描くのが一番しんどいwww

    >ゴゴT。さん
    はい、本番はこれからです。
    本気で予想されたら簡単に当たっちゃうかと思うので、
    勘弁していただけると幸いですw
    少なくとも私的にはこの話、ずっとひねりの無い展開なんですよね。
    普通のひとが超能力を持った変態にからまれちゃったらこうなる、という。

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