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『涙目王女』 その27

2009年02月06日 01:57

エピローグパートそのいち。
……そのいち?

今北さん用あらすじ
・もう
・ちょっとだけ
・続くんじゃ

はじめから読むひとは→こちらへどうぞ

   ×   ×   ×

もう、勝負は見えた――誰もがそう思っていました。
ドラゴンが勢いよく吐き出した炎が、トロルの鼻先を焦がします。
思わずバランスを崩したタイミングを見計らって、体当たり。
下等な巨人は、わずかに胃液を吐いてのけぞりました。
かなりのダメージのようです。

「ああ、このバカトロル!」
「いいぞ、ドラゴンいけっ、やれっ!」

足を踏み鳴らすもの、口笛を吹くもの……
観客席の盛り上がりも最高潮に達しようとしていました。
そう、ここはシュレアルの裏社会が誇る賭博場。
毎日のように莫大な金が動く、モンスターの格闘場です。
今夜のメインマッチは、ドラゴンとトロルの一騎打ちになりました。

勝利を確信して不用意に近づいたドラゴン、
その油断を、トロルは見逃しませんでした。
その巨体からは想像もつかないスピードで、
ドラゴンの喉笛を左手でつかみ、
ありったけの腕力をこめてしめあげます。
魔獣は驚いて再び火炎を吐こうと口を開きましたが、
喉の奥からは、わずかに「ぐぅ」と鳴き声が漏れるだけ。
はっきり危険を感じたドラゴンが、
トロルをひきはがそうと全力で暴れまわります。
その抵抗も、少しずつ弱まっていって……
やがて、轟音とともに竜は地面に崩れ落ちました。
くるん、と白目をむき、口からは泡をふいて、
完全に気絶しています。
それを確認して、トロルは満足そうに雄たけびをあげました。

ぱあん、とラッパが響いて、巨人の勝利が確定します。

配当は3.5倍。
悔しそうに券を破り捨てる者、
トロルと一緒に喜びの声をあげる者……
観客席の勝者や敗者も、それぞれの感情をあらわにして
勝負の余韻にひたっていました。

その時。
場内の明かりが、ふっと消えました。

「!?」

驚き、ざわざわと騒ぎたてる観客たち。
そこに、やけにハイテンションな女の声が響きます。

「はぁい、どうも皆さん、
本日はモンスター格闘場にお越しいただいて、
まことに、まことにありがとうございます!
楽しんでいただけておりますでしょうか?
本日の勝者は、先ほどご覧いただいたトロル君。
いつもならこれでお開きなんですが、
今日は特別にちょっとした余興をご覧頂こうかと思います。
では、どうぞ!」

ふたたび、場内に光が戻ります。
闘いのステージには、一匹の魔物が立っていました。
――それは小柄な、雌のオークでした。


リヴェラ姫は、混乱の極地にいました。
たしかフリーダの持ちかけてきた『ゲーム』に挑戦して。
ダメで。
気を失って。
……それから?
お城の寝室で倒れた彼女が、
どうしてこんな所に立っているのでしょうか。
高い壁に囲まれ、砂が敷きつめられたステージ。
たちこめる、血と汗の匂い。
いぶかしげに自分を見つめる、たくさんの観客たち。
そして、ステージの反対側からゆっくり歩いてくる、
巨大な……魔物。

「んぶゥッ!?」

王室でそだった姫には、
目の前の醜悪なモンスターが
トロルと呼ばれる巨人族であることすら知りませんでした。

「それでは、本日1等賞のごほうび!
かわいいブタちゃんによる、愛のショータイムのはじまりです!」

どこからともなく響いてくる、嬉しそうな女の声。
姫には、はっきりその正体がわかります。
それはまぎれもなく、フリーダのものでした。
でも、愛のショータイムって……?
疑問を抱いた次の瞬間、
その答えはあまりにも露骨な形で示されました。
巨人がその身にまとっていた毛皮を、乱暴に脱ぎ捨てたのです。
その、下半身。
猛々しく屹立した男のシンボル。
こちらを見る、そのどろりとした目。

――まさか。

全身に生えた獣毛を逆立てて、姫は恐怖にすくみあがりました。

この私が。
こんな奴に。
こんなところで。
嫌だ、そんなの嫌だ。
どんな姿になったって、私は私のはず。
こんなモンスターと交わるなんて、いくらなんでも……
――ああ。
それなのに。

ごくり、と音をたてて、唾を飲み込みます。

それなのに、どうして魔物の股間から、目を離せないのでしょう。
どうして、心臓の音がやけに大きくなってくるのでしょう。
どうして、乳首たちが固さを、敏感さを増してくるのでしょう。
どうして……はっきり嗅ぎ取れてしまうそのきつい体臭を、
もっと嗅ぎたいと思ってしまうのでしょう。

寝室で行なわれた『ゲーム』とはわけが違います。
あの時は、「もとに戻る」という目的がありました。
それに何より、相手は愛しのレオナルド。
どんなに欲情しても、乱れても、
それにはひとつ筋が通っていました。

しかし、今は。

相手はほとんど理性を持たない野蛮な魔物。
しかも、そこで行なわれようとしていることに、
何のメリットもないのです。
いまここで性交におよび、
それに少しでも歓びを感じたとしたら……
それはもう、純粋に姫自身の欲望の産物、ということに
なりはしないでしょうか。

じっとりと浮かんできた汗が恐怖によるものなのか、
あるいは熱くほてっていく自分の身体のせいなのか――
姫自身にも、はっきりとは分かりませんでした。

   ×   ×   ×

……終わらなかったりして。
でも次回、ようやく最終話になります。

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コメント

  1. 現在楽識 | URL | -

    Re: 『涙目王女』 その27

    おお、トロルですかw

    賭博場、最初のフラグはやはりここだったのですねぇ

    俺個人としては、あのスノ○ラ王子が一番悪い気がしますよw

    漢なら愛する人を救ってやれよ!!!

    王子、姫、パブロの順に悪いと思ってるのでw

    最終回楽しみにしてますw

  2. greenback | URL | xB9R6Xc2

    Re: 『涙目王女』 その27

    >現在楽識さん
    フリーダさんが抜けてますがw
    王子様は「男」であって「漢」ではなかったんですね。
    最終回は手直し等でもうちょっとお時間を頂きます。
    挿絵も描きたいんだけどなあ。

    あと、頂いてたやつもですね。
    変身前の線画だけは出来たんですが、
    あの変身後を絵で表現できるかどうかw

  3. | |

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